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強く、たくましく育った苗は、
栄養を吸収しやすい。病気に負けない。

種の話若い種を使う。薬での消毒はしない。

  • まず前年の話。僕は種を確保する時期が違います。刈りの時ではなく、それより少し早目に、まだ若い種を確保。若い方が翌年に勢いが出て、元気な苗が育ちやすいのです。
  • さて田植えの年。保存しておいた種は病気予防のために農薬で消毒するのが普通です。僕は代わりに温湯殺菌をします。これは一定温を保った湯に、一定時間、種をつけておく 手法です。
  • ではなぜ、他の農家もそれをやらないか。湯温を一定に保つ管理が大変だからだと思います(この方法を知らない人もいるかも)。僕はサーモスタットの付いた機械を導入したため、温湯殺菌が容易にできるようになりました。

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苗の話たくさん植えない。じっくりと強靱な茎を作る

  • 種は、いきなり田んぼに蒔くのではなく、苗箱に蒔いて発芽・成長を待ちます。この時に蒔く種の数が、僕は普通よりグンと少なめ(半分近い)。これも強い苗を育てるためと、機械で行う田植えの時、機械が何本もの苗をつかまないようにするためです。
  • ふつうは、発芽した苗箱に温度をかけて成長させ、5、6cm程まで伸びると茎から一葉目が出ます。でも僕は芽が出たら温度をかけず、3cm程度で一葉目が出るようにします。普通の半分の長さです。ここで急いで伸ばすと茎がヒョロヒョロ。逆に僕の苗は明らかに茎が太く、これが強い苗作りに通じるのです。
  • 一葉目までは短くても、田植えをする時の苗は、今度は普通より成長させます。普通は「はつか苗」と言って20日間・10数cmが田植えの目安。でも僕は40日待ち、25cm程度まで伸ばします。一葉目までは短くし、育苗自体は長く。これが後々生きてきます。根の勢いが増し、水や土の栄養を吸収しやすくなり、茎は太くて頑丈になります。むやみに肥料を与えなくても、稲ワラやモミ殻、ヌカ、そして生き物と微生物が織り成す養分だけで元気な稲が育つのです。
  • ところで、苗箱の中の苗が5cm程になった時、僕は苗をイジメます。ローラーで押し倒したり、踏みつけたり。当然茎は折れますが、植物の力はすごい。修復をしようと潜在能力を発揮して、むしろ強く太く、粘りも出る。人間も、子どもの頃に骨折した所はむしろ強くなるといいますね。それと同じです。

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田植えの話密集させない。その方がいい米ができるから。

  • 普通は田植機が4~5本の苗をつかんで一箇所に植え、これを1株と言います。1株は15cm間隔で植えます。このやり方だと田んぼ全体に苗が密集し、緑をたたえて見た目もキレイ。 でも僕の場合は、前述のように苗箱の中の苗の数が少なく、このため田植機は1本か2本の苗しかつかみません。1株につき、苗が1本か2本。おまけに間隔は18cm。スカスカで見栄えの悪い田んぼが出来上がります。
  • でも、スカスカの方が苗の成長のために、米作りのために絶対にいい。だって風通しも日当たりも良くなり、日が当たれば微生物も育ちやすい。水温も上がり、夜は水を掛け流すことで昼と夜で水温差を出せる(水温差がある方がおいしいお米ができやすいのです)。株と株の間隔が開いているから病気伝染のリスクも減り、何より1株1株がしっかり根を張り、栄養を吸収。田起こしの話の時に「土中に酸素が届く根の張り方」と言ったのも、このスカスカ植えに理由があります。
  • 一般の農家が苗を密集させるのは収穫量を上げるためです。気持ちは分かります。でも僕は比較実験をしました。苗をたくさん密集させる田植えと、苗の少ないスカスカな田植えで、どれだけ収穫量に差が出るか!? すると驚くことに結果は同じ。スカスカな方が1株に実る米粒の数が断然多かったのです。収穫量が同じなら、スカスカの田んぼのお米の方がおいしいに決まっています。1株1株が風や太陽光を存分に受け、栄養を豊富に吸収できるのですから。