HOME > 米つくり > どうやって学んだの?

全国の素晴らしい先輩から教えをうけました。 そして、僕なりに噛み砕き、 試行錯誤をしました。

全国12箇所の農家を訪ねました。

最初はど素人でしたが、父が田んぼをやっていましたから基本的なことは理解していました。ですから勉強のポイントは、農薬を使わずに、田んぼの生き物を生かしながら、どうやって稲の病気を抑え、雑草や害虫を除き(今はいわゆる害虫も自然の生態系に取りこんでいますが、当時はそこまで分かりませんでした)、その上で、どうやっておいしさと適正な収穫量を守るか。その延長線上で、環境と生き物の関係、稲作と生き物の関係も勉強したいと思いました。

最初は関連の本を購入して学んだり、インターネットで情報収集。やがて無農薬で成功している農家が全国にいることを知ります。こうなると僕の性格上、どうしても会って話を聞いたり、田んぼを見たくなります。そう思い立ったらもう我慢できません。九州から東北まで全国12ヶ所の農家を訪ねました。どこの方も快く受け入れてくださり、長い歳月をかけて辿り着いた独自の考え方や手法を、何でも教えてくれました。現場に行かなければ分からない、という「真理」も実感しました。

水田環境鑑定士の取得も、有意義でした。

その全国行脚の頃、田んぼの状態を客観的に評価できる「水田環境鑑定士」という存在も知り、2泊3日の研修を受けて資格を取得しました。水質や生き物の数など、様々な角度から田んぼを調べ、評価するなど、この研修も目からウロコでした。全国の志ある農家の人や、これから農業を始めたいという若い人、大学の教授など、研修参加者も多種多彩。僕が興味をもっていた環境と生き物、稲作と生き物の関係についても学ぶことができました。

何より大きかったのが自然の生態系について学べたことです。昨今は、カメ虫やバッタさえ害虫として農薬で駆除されてしまうが、本来、それらはカエルのエサになる。そのカエルをヘビが食べて、鳥がヘビを狙う。そうして小さいものが大きいものを食べ、それぞれの死骸や排泄物を微生物が分解して、肥料になる。まさに僕が目指した「生き物と一緒に米作り」というテーマが、間違っていないことを確認できたのです。

米作りは地域の気候・環境により様々。だから試行錯誤の連続です。

無農薬の米作りをする全国の先輩農家の考え方や手法は、もちろん参考になりますが、それをそのまま自分の田んぼに当てはめることはできません。
気候や土壌など自然環境がまったく違うからです。実際、訪ねた先輩農家の数だけ、異なる手法がありました。

そこで静岡の、大井川町の、僕の田んぼではどうすればいいか….。試行錯誤の毎日が続きました。苗の育て方、土の起こし方、雑草 の刈り方、そのタイミング、虫の居場所を作る方法…. それらは一例ですが、先輩農家の考え方の「いいトコ取り」をしながら、実践・試行錯誤を繰り返し、自分の田んぼに合った手法を進化させていきました。もちろん今も改善テーマは様々。米つくりにこれで良しというゴールはありません。

有機肥料を使わない方法も、研究・実行・試行錯誤の連続。

そんなこんなで、6、7年目の頃から雑草対策や稲の病気への対策は、相当に改善されていきましたが、収穫量はなかなか多くはなりません。化学肥料や有機肥料を入れればグンと良くなり、味だってもっと高まることは分かっていましたが、それはしたくない。だってそれって、言わば肥料で味付けられた米。本当にこの土地の力で地力(個性)を活かした米作りがしたい。でも、そうした米作りをしている人は、僕の知る限り全国でもいなかったから、独自に研究し、試行錯誤するしかありませんでした。

外部からの有機肥料さえ使いたくないと思い始めた頃に出会ったのが、ある地域で行われていた不耕期栽培(冬期淡水田んぼ)というものでした。これは田んぼの水を一年中張っておくことで、イトミミズなどの水生物を発生させ、その死骸やフンと水によって、土をトロトロの層にし、この土が肥料化するとともに雑草の発生も抑える、というものです。

でも僕はこの方法はできません。なぜなら、普通は農業用水を使えるのは田植えから収穫の時期のみ。自分で井戸を掘り下げてみるか、山あいの清流沿いの田んぼでない限り、一年中田んぼを水で満たすことができないのです。また、僕が見学した不耕期栽培の田んぼは外部からの有機肥料を使っていましたから、直接の参考にはなりません。でもヒントを得たような気がしました。この不耕期栽培なら、外部の有機肥料を使わない米作りができるかもしれない。それを普通の田んぼでもできないものか….。素人だから辿り着いた、あまりに無謀な発想です。

僕はまったく独自に研究し、実行し、うまくいかず改良し、そんな日々を重ねて、やがて栄養を吸収しやすい苗作りや田植えの方法、自分の田んぼから出た稲ワラやもみ殻、ヌカ、刈り取った雑草を活かし、外部からの有機肥料は使わない方法を確立していきました。(これもまだまだ改善の余地はありますが。)