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生き物たちと一緒に

田植え以後は、一つ一つの田んぼの見回りが大事な仕事。
雑草を刈り、苗の状態をチェックする。
水位が低すぎて土が露出している部分はないか(露出すると雑草が生えやすい)。
水温も見て、必要に応じて夜に水の入り口を開けて掛け流し、朝には再び止める。
といっても何カ所もあるから、これもひと仕事です。

私がそうした作業をする一方で、土を豊かにしてくれているのが、生き物たちです。

  • 田植え後にすぐ元気な姿を見せるドジョウやメダカ、様々な種類のカエル、それを狙ってシマヘビやカナヘビ。
    春はモグラやスッポンを見ることも。空からはカモやシラサギ、サギ。
    初夏になるとイトミミズやタニシ、アメンボをよく見かけます。
    その上をチョウが優雅に舞い始めます。そしてこの時期、会うのが楽しみなのがホウネンエビです。
  • ホウネンエビとは体長2cmほどの甲殻類、学問上はエビとは違うようですが、まあエビの仲間みたいな感じ。
    昔はどこの田んぼにも生息し、この生き物が多い年は豊作であることから「豊年エビ」と名付けられたとか。
    害虫を食べるとか特別な役割はありませんが、農薬や化学肥料を使っていては、まずお目にかかれませんから、環境のバロメータと言えるのです。
  • ホウネンエビに特別な役割はないと言いましたが、生態系の一つとして田んぼに貢献していることは間違いありません。泥をかき混ぜて水を濁らせるため、水底に光が届かず、雑草を発生させにくい、という指摘もあります。
  • 夏本番になると、虫たちがいよいよ目に付きます。
    様々な種類のトンボやクモ、バッタ、カマキリ、イナゴ、テントウムシ、嫌われ者のカメムシ….。
    彼らがフンをし、生命を終え、微生物と連携して水や土を豊かにする。
    それが私の米つくり….と言ったら手柄の横取りですね。
    生き物と一緒の、自然の恩恵にあずかる米つくりですね。

害虫を益虫に変える、という発想

  • 私の田んぼのある旧大井川町(焼津市)と、その周辺では、近年ジャンボタニシが大発生。
    食用に養殖したものがいつしか逃げて、このエリアで繁殖したのです。
    ジャンボタニシは柔らかい苗を食べてしまいます。そこで普通は薬で駆除しますが、私はそれはできない。
    お茶のシブを使うといいと聞いて、これなら薬ではないからいいだろうと、実験的に一部で使ってみました。
    確かにジャンボタニシは駆除できますが、他の生き物まで死んでしまった….
  • そこで発想を変え、ジャンボタニシを味方にすることにしました。
    連中が食べるのは田植え直後の柔らかい苗の、さらに柔らかい先端部分。
    そこで田んぼの水をギリギリまで少なくして、先端まで届かないようにする。
    すると連中はあきらめて、雑草を食べるようになったのです。
    この瞬間、ジャンボタニシは害のある生き物から益を呼ぶ生き物になりました。
  • でも水を少なくすると、地面が露出しやすい。露出すると雑草が生えてくる。
    そのギリギリの接点を追求するわけですから、仕事は増える。
    まあ正直、やっかいな生き物ではあります….